菊の鉢片寄せひそと忌中札

通勤途中の酒屋の店先には春夏秋冬それぞれの花や鉢物が飾られ、通り過ぎる間の僅かな時間であるが、私の眼を十分に楽しませてくれた。秋にはもちろん、大輪の菊が何鉢も飾られ、入口が分からないほどだった、、、。ある日通ると、その菊の鉢がすべて片寄せられていた。閉じられたままのガラス戸の内側に、色褪せた白いカーテンが重そうに垂れているのが見えた。そして、梁の中央に黒い縁取りの忌中札が貼られていた、、、。(2010年秋詠)

「菊の鉢片寄せひそと忌中札」への2件のフィードバック

  1. 子供の頃はまだ土葬の風習が残っていた。
    竹の先に小さなざるの様な物が付けられ、竹が振られる度に中に入れられた紙切れが紙吹雪となって舞い、同時に小銭がチャリンチャリンと落ちて来る。
    自分達はそれを必死で拾っていた。
    その後を大人達に担がれたお棺が進んで行ったのだろうが、その記憶は薄い。

    1. 私よりよく知っていますね。
      その道具は見たことがありますが、使われ方は知りませんでした。
      距離にするとほんの少ししか離れていないのですが、私の育った近所では当家以外の子どもは遠ざけられていたように思います。
      もっとも、物心ついた後にあった曽祖父や曾祖母の葬儀もよく覚えていないので本当のところはあやふやです。

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