枯蟷螂ほんとに枯れて動かざる

保護色なのでしょうか、この季節になると枯色のカマキリを見るようになります。それも生気のないどす黒いような枯色、死んでいるのかなあと思ってつつくと少しだけ動いてまた止まってしまう。掲句は反対、死んでいるのかなあと思ってつついたら本当に死んでいた、、、。(2016年冬詠)

裏木戸が主たる入口石蕗の花

冬になりました。石蕗の花がきれいに咲いています。掲句は一人暮らしのお宅の玄関脇の石蕗の花。何度行っても玄関が閉まっていて応答がない。困って隣で聞くと、「玄関はいつも閉まっとる。横の木戸から入って奥のほうで呼んだら出て来るから」と教えられた。なるほど、石蕗の花のもう一つ横が細い道になり、古びた木戸へと続いている。こちらはすっと開く。家の横を通って裏へ行くと二階へ続く階段がある。そこで大きな声をするとガタガタと二階で音がして、ようやく返事が返ってきた、、、。(2016年冬詠)

木の実降る小さき社に大き音

近くの神社の裏に行くといくつかの小さなお社が並んでいます。お稲荷さんもあります。お社自体は古いものですが、修復された屋根はトタン葺きです。これに木の実が落ちると大きな音がします。いきなりなもので、ちょっとビックリ、、、。(2015年秋詠)

ひと色に日差集めて秋の蝶

寒くなって、さすがに目にする蝶も限られてきました。白か黄ですね。春に目にするのも早いですから、寒さに強いという事なのでしょう。昼間の温かい日差しの中を舞っているのは良いですが、朝の寒さの中で草にしがみついて日差しを待っている姿は哀れなものです、、、。(2016年秋詠)

ハロウィンの南瓜引き寄す蔓の先

捨てた種から育った南瓜だから、どんな実になるのかは全く分からないのが我が家のカボチャ。楽しみにしていたら、出来たのはオレンジ色のハロウィンで使うようなカボチャ、おやおや、去年こんなカボチャを食べたかな?と思いながら蔓を引いて収穫した時の句です、、、。(2015年秋詠)

門閉ざす蔓梅擬からませて

もちろん名前を知ったのは俳句を始めてからのこと。辞書を見ると「枝を活花に用いる」と書いてあり、写真を見ると確かに活花で何度も見たような気がする。掲句、何の気なしに立ち止まった空家の前、門のフェンスに何やら植物が絡まっている。もう何年も空家なのだろう、これじゃあ門が開かないよ。まてよ、何の蔓だろう、とよくよく見ると確かにあの蔓梅擬。なあんだ、自然の中ではこんなになるんだ、と活花との違いに驚いた時の句です、、、。(2015年秋詠)