用水の二手に分かれ春の音

水は四季折々の音を聞かせてくれます。散歩途中に越える用水路、その石橋の手前で二つに分かれ、越えた流れがすぐにまた二つに分かれています。それぞれが賑やかな音をたてる、なんとも複雑な構造です、、、。(2016年春詠)

首まはしコキコキ音が鳥帰る

コハクチョウの北帰行が始まったと聞いたのはもうずいぶん前のような気がする。散歩途中で見かける川の鴨たちもそろそろ旅立つのだろうが、もう帰りますと言ってくれる訳ではなく、知らないうちに旅立ってしまう。何だか川が広くなったなあと感じる日が近いのは確かだ、、、。(2016年春詠)

この猫も親戚すじや春の昼

ここに家を建てた頃は側を通る道路も通行量が少なく、捨て猫が何度もありました。それも毎年同じ毛並みの同じ顔の猫です。ある時ちょっと離れた酒屋さんに買い物に行ったら、なんとその捨て猫と同じ顔の大きな猫がいるではありませんか!出て来たお店の女将さんを見ると、あっ、いつも家の側を通るおばさんだ!なるほど、、、。その後ほかの人に聞いた話では猫好きのそのおばさんは実家がその酒屋さんで、毎日我が家の側を通って店を手伝いに行っているとか、、、。(2003年春詠)

死人てふ人だかりあり冴返る

徒歩通勤をしていた頃の古い事です。田圃の向こうに見える神社の傍に朝から人だかりがあり、パトカーの赤色灯が回っていました。何だろうと思っていたら、ちょうどそちらから戻って来た知り合いが、行き倒れの死人らしいと教えてくれました。寒い朝のことでした、、、。(2003年春詠)