青竹のスッパと切りし中に雛

足守の街並を通ると、古い家々の前に雛飾りが見られます。最近ではいろいろな街で見られる風景です。足守の場合は派手で無く街並と調和して良い雰囲気です。車の中からチラチラ見ながら通るだけですが、、、。(2016年春詠)

遠足の園児出てくる出てくるわ

倉敷の美観地区に行くと園児の集団によく遇います。掲句、観龍寺の石段を下りる途中で見た倉敷公民館から出てくる園児の大集団です。何組にも分かれて、次から次に出てきて、とうとう石段を下りきるまで続きました。保母さんっていう仕事、つくづく大変だなあと感じた時の句です、、、。(2016年春詠)

囀やメタセコイアの空広く

倉敷アイビースクエアのチャペルの前にあるメタセコイアの大木、鳥たちの声に見上げると、まだ芽吹く前の思い切り広がった枝の上に眩しい青空があった。鬱蒼と葉に覆われた木を見上げるのと違い、改めて木の大きさを知ったような気がした、、、。(2016年春詠)

ニット帽脱げばツルリと春の風

昨日も禿げ頭と書いて、今日もまた禿げ頭ですが、けっして禿げ頭を笑っているものではありません。むしろ、突然ニット帽の下から現れたよく手入れされた頭に驚いて、尊敬の念さえ抱いてしまった時の句です、、、。(2016年春詠)

山笑ふ産毛のごとく雑木伸び

伐採された山に新しい木々が生え始めている。山を人間の頭に例えるなら、ちょうど禿げた頭に生えた産毛程度ではなかろうか、とふと考えた。もっとも人間の禿げ頭が再生することはめったに無いが、こちらは強い。ふさふさと、確実に勢力を広げて行く、、、。(2016年春詠)

用水の二手に分かれ春の音

水は四季折々の音を聞かせてくれます。散歩途中に越える用水路、その石橋の手前で二つに分かれ、越えた流れがすぐにまた二つに分かれています。それぞれが賑やかな音をたてる、なんとも複雑な構造です、、、。(2016年春詠)

首まはしコキコキ音が鳥帰る

コハクチョウの北帰行が始まったと聞いたのはもうずいぶん前のような気がする。散歩途中で見かける川の鴨たちもそろそろ旅立つのだろうが、もう帰りますと言ってくれる訳ではなく、知らないうちに旅立ってしまう。何だか川が広くなったなあと感じる日が近いのは確かだ、、、。(2016年春詠)