老人に添ひて白犬秋深し

角を曲がったところでいきなり自転車の女性に連れられた白犬と出会った。あやうくぶつかるところだった。「ごめんなさい」と言いながらよく見ると、何だか見たことがあるような犬。いつも老人と一緒だった白犬に似ている。「もしかして、以前おじいさんと散歩していた犬ですか?」「ええ、今年の1月ぐらいまではそうだったのですが、身体を壊して、、、。今は入院しているんです。それで私が・・・。」「そうですか、よく見かけていたのに、どうされたのかと思っていました。」心なしか白犬も以前より細くなって見えた、、、。(2017年秋詠)

腕折りて眠る重機や葛の花

小学生の頃、我が家には何匹も兎がいた。学校から帰ってその餌を採りに行くのが子供の仕事で、春から秋までせっせと葛の葉を採った。葛は栄養があって、美味しいのだろう、兎に限らず牛も山羊も好んで食べた。葛はいくら採っても採り尽くすことが無い。強すぎて、最近では兎もいないので負けてばかり、、、。(2017年秋詠)

水澄んでダム湖の底に天と地と

国道429号線を走って県南へ行くのに唯一残っている難所が旭川ダム沿いの山道です。カーブミラーを頼りにくねくねとハンドルを切ります。バイパス工事は始まっているのですが何年も経つのにいまだ開通には至っていません。が、そのおかげでこんな句も、、、。(2017年秋詠)

秋日濃し絵図と比べる干拓地

早島公園の山上に絵図が設置されている。絵図には今一望している場所の干拓が始まった頃の様子が描いてある。ようするに見えている場所のほとんどが、かつては海の底だったようだ。遠い昔に想いを馳せる、ここが海だったとは、、、。(2017年秋詠)

こぼしつつ犬戻り来る草の露

掲句は昨年、今年は急に年老いて外に出しても遊ぶ事が少なくなりました。今年の夏では無理も無かったのですが、少し涼しくなって来たのでまた少しずつ散歩の距離を伸ばして行こうと思っています、、、。(2017年秋詠)

蟋蟀の声を転がす坂の道

歩きやすそうで歩きにくいコンクリート舗装の急坂、下ろうとすると古くなってざらついた路面に、これもすり減った安物のスニーカーの靴底は今にもすべりそう。おりしも側の草むらから聞えて来た蟋蟀の声、蟋蟀の声は最初から転がっている、、、。(2017年秋詠)

秋燕の残る一羽に空広く

掲句は昨年の秋燕、今年は七月の豪雨後に急に燕の姿を見なくなった。さっさと帰ってしまったのか、豪雨の無いところへ引っ越して行ったのか、見かけるのはごく少数。例年ならまだ多くの燕が見られる頃です、、、。(2017年秋詠)