緩やかに風の撫で行く稲の花

故郷まで2時間ばかりの帰省だが、その間でも田圃の状態にはずいぶん差がある。早いところではもうすっかり色づいて稲刈を待っているような所もある。昔父が生きていた頃には、帰省する度にどの辺りの田圃がどうかとよく質問してきたものだ。春には田植を秋には稲刈を。その頃からの癖で今でも田圃を観察しながら車を走らせるが、もし父が生きているとすればさしずめ、ずいぶん休耕田が増えたね、と報告するところだろう、、、。(2017年秋詠)

犬ねまる玄関脇に蚊遣香

「最近蚊が少ないと思いません?蚊は気温が31度を超えると活動できなくなるそうですよ」と聞いて考えてみると、確かに連日の酷暑の間は蚊がいなかったような気がします。その酷暑もどうやら峠を越えたようで、外に出ると蚊に刺されるようになりました。どちらが良いのやら、、、。(2017年秋詠)

その後の思考続かず秋暑し

今日は田舎へ墓掃除に行ってきます。毎年の事ですが暑いんです。もうこれぐらいで勘弁してもらおう、と毎年適当なところで止めてしまいます。お墓の中では、おいおいもうお仕舞かと思っているか、暑いから無理はせんでもええよと思っているか、きっと後者のほうだと、これも勝手にそう思って、、、。(2017年秋詠)

八月のいきなり鵙の鳴く日かな

八月になると鵙の甲高い威嚇するような声が聞こえるようになる。それもいきなり、散歩の途中の二階建ての家の一番高いテレビアンテナの上から降ってくる。あの声を聞くと秋が来た事を感じる。実際はまだ八月で、昼間は相変わらずのうだるような暑さにまいっているのだが、、、。(2017年秋詠)