春泥に足をとられし靴の跡

某神社での吟行句。ひと所整備されていない未舗装の雨が降ると水たまりが出来る春泥の道がある。気づけば避けられる短い距離だが、横の桜ばかり見ていると足を取られる。たいてい一つや二つはそんな足跡が、、、。(2017年春詠)

水ありて命湧きけり蛙鳴く

川の流れが分岐して土手のすぐ下に細い流れが出来ている。細いけれど流れは豊か、軽やかな音を立てて流れている。春になるとその音に蛙の声が加わる。鳴いている位置が良いのだろうか、ケロロケロロと水音に負けないぐらい軽やかな声、、、。(2017年春詠)

安全な距離を覚えて雀の子

朝の道、路上で雀の子が虫を啄んでいる。手の届きそうな距離に近づくとその虫を咥えて飛び立ち、数メートル先に降りてまた虫を啄みはじめる。この繰り返し、羽があるのだから同じ道に降りなくても、と思うのですが、、、。(2017年春詠)

人も野も包みて霞やはらかし

暖かくなったり寒くなったり、ではなく、暑くなったり寒くなったりで今年の春はどうなっているのでしょうね。ほどよく暖かい春が良いですね。と、都合の良いことを思っています。掲句は昨年のそんな一日、、、。(2017年春詠)

漣に乱るる山湖花の影

例年のつもりで書いていたら桜に後れを取ってしまいました。ご容赦を。棚田への途中にある山湖(大きなため池)、周囲に桜が植えてあり、満開の桜が線対称に水面に映っている。風が吹くと水面を漣が走り、岸辺近くに来ると映っている桜がしばらく乱れる、、、。最初は驚いたが、なぜか白鳥が泳いでいる、、、。(2017年春詠)

花散るや音なき時の流れ行き

咲くのが早ければ散るのも早い。掲句は昨年の4月13日、下津井での句だから今年はちょうど1週間ほど早いことになる。どちらかと言うと散る時の桜のほうが好きで、心に残っている思い出のシーンも桜散る中のほうが多い、、、。(2017年春詠)

人間の渡れぬ中州きぎす鳴く

上流に出来たダムに伴う河川改修で川がきれいになったのはこの地に住みだして間もない頃だった。それが次第に水流が変化し、二手に分かれて間に中州が形成されるようになった。そこに草が生え、木が育ち、今では本来の向う岸が見えないぐらいの大きな中州になっている。二手に分かれた流れはどちらも水量が多くて人が渡るのは困難、まるで鳥の天国のようになっている。雉の繁殖には最適なのだろう、よく鳴き声が聞こえる、、、。(2017年春詠)