怖いもの見たさ火事場にまだ煙

火事はすべてを持っていくから怖いですね。昨年の今頃だったでしょうか朝から近所で火事騒ぎがありました。ちょうど散歩に出た時で、怖いもの見たさに犬を連れたまま張られた規制線の所まで行ってしまいました。幸い大きな火事にはならず、まだ煙は出ていましたが既に炎は無く、住人の一人暮らしの男性も大した怪我はなく、自分で救急車に乗って運ばれたそうでした。ということで解散、、、。(2016年冬詠)

着ぶくれを極めトイレのままならず

昔に比べると防寒着もずいぶん進歩しましたね。薄くて暖かい下着は常識になってしまいました。それを重ね着して、セーターを着て、さらに一番上にはダウンのモコモコの上着、結局昔よりも着ぶくれているような、、、。(2016年冬詠)

飛行音やめば鳥声山眠る

実家での句です。山の間の狭い所ですから上空を飛ぶ飛行機の音も響いて大きく聞こえます。それが過ぎるとまた鳥の声が賑やかに響いてきます。全く動じないのが周囲の山々、あと一か月ほど、春までもうひと眠りです、、、。(2016年冬詠)

牛小屋の跡の更地や実南天

南天の句をもう一句。木山神社に初詣に行くようになっておよそ25年ほどになります。行き始めた頃には参道脇のお家に注連飾りをした牛小屋があって、奥の暗がりに暗がりと同じような色の和牛が鳴いていました。その牛がいつしかいなくなり、注連飾りと牛の匂いだけの牛小屋を見て帰る年が何年も続きました。それが昨年、その牛小屋が跡形もなく無くなっていたのです。それも更地になって間がない土の色でした、、、。今年は、土の色が周囲と同化して、私のように牛小屋の匂いを楽しみにしていた人間でなければ、そこに牛小屋があったなんて分からなくなっていました。傍らの南天は今年も元気そのもの、葉も実も、、、。(2017年冬詠)

南天の葉までも赤し寒の入

小寒です。南天にもいろいろな種類があります。葉が赤くなるのも種類によるのかと思うのですが、この時季に赤くなった葉を見ると、何だか寒さに耐えて赤くなっているような気がして、こちらまで寒くなってしまうのです、、、。(2017年冬詠)

寒林に隙間朝日の透りくる

木山神社での句です。初祓を待つ社務所の温かい部屋から、裏山の雪の残る杉林が見えます。鬱蒼と茂っているのですが、その中にも隙間があるのでしょう、一所だけ明るく朝日の差している場所がありました、、、。(2016年冬詠)

寺に鐘社に太鼓年送る

夜には近所の神社からは太鼓の音が、少し離れた寺からは鐘の音が聞こえてきます。その音を聞きながら、また一年が過ぎてしまったと反省するのです。皆さまはどんな一年だったでしょうか。私は良い事も悪い事もあった一年でした。まあ悪いと言っても、年末になってお風呂のボイラーが壊れ、四五日お湯の無い生活を体験したぐらいの事ですがね。それでは良いお年を、、、。(2016年冬詠)

一群に一羽見張の鴨の声

煤逃げの散歩に行くと穏やかな日差しの師走の広い川面にいくつもの鴨の群があります。隅っこのほうには浮寝のグループが静かに浮いていますし、賑やかに遊んでいたり、羽の手入れをしていたりするグループがあります。観察すると、ところどころに見張役の鴨がいて、一定間隔で声を出しています。その声の調子が近づいて行くと次第に強くなるのです。離れて行くとまたのんびりとした調子に戻って行きます。なるほどなあと思うのです、、、。(2016年冬詠)