家ぢゆうが濡れてゐるやう雪の後

昨日やっと二週間前の雪が消えました。こんなに長く残っているのも近年無かった事です。まだ少し湿っぽさが残っていますが、もう少しです。ここでこれぐらいだから雪国では大変だろうと思います。昔雪の京都で喜んでいたら、福井の人に「雪が降って楽しいと思った事なんて一度も無い」とぶぜんとした顔で言われた事があります、、、。(2015年冬詠)

待春のざわめき満ちし絵画展

図書館に行ったら近くのホールで絵画展をやっていた。津山には美術館もなく、そうそう機会があるわけではないし、時間もあったので入ってみた。絵画教室主宰で入場は無料、出展者やその知り合いや家族らしい多くの人で賑やかだった。絵はそこそこ力作ぞろいで、絵が描けない私には羨ましいものだった、、、。(2015年冬詠)

ポン菓子の音のはじける冬の空

匂いをたどって行くと社務所の裏手に。屋根の下に据えてあるのは懐かしいポン菓子を作る(私の田舎ではポンポン菓子)機械です。そばの鍋には匂いの元の豆が煎られています。もうじき弾けるところ、挨拶をしてわくわくしながら待っているとハンマーで一気に、バーン!、、、。豆と一緒に小さなビニール袋に入れて豆撒き用の福豆セットを作るそうです。「昔と違うてこうせんと子供は拾わんのです、食べてみます?」と出来立ての大きな塊を差し出されるので遠慮なく、、、。(2015年冬詠)

和菓子屋ののれん浅葱に春近し

倉敷の句会へ行く途中で国道429号線からそれて足守の情緒のある古い町並みを抜けて行きます。その町並みの外れにある和菓子屋さん、四季折々の大きな暖簾の色がきれいです。寄ったことは無いのですが、そろそろ鶯餅かな、、、。(2015年冬詠)

冬の虹見とれて雨に降られけり

冬に虹を見ることが多いのは、雨が多いという事なのでしょう。それも時雨、パラパラと来てすぐに止んで行く。遠くの空を見ると薄く虹が出ています。きれいだなあと見とれているうちに次のパラパラ、なら良いけれど、これが今度はちょっと多かったりするのですよ、、、。(2015年冬詠)

枯芝の中にも緑三鬼句碑

一人の人間の目の及ぶ範囲なんて知れていて、知らないところで着々と季節は進んでいきます。枯芝もそうです。よく見るといつの間にか枯色の中に緑が混じるようになっているのです。掲句は津山文化センターのホール前の芝生にある西東三鬼の句碑です、、、。(2003年冬詠)