待春の瀬戸の大凪小凪かな

四国勤務のころ、毎週渡っていた瀬戸大橋、余島のパーキングエリアでの句です。遅かろうと早かろうと、とにかく余島で止まって海を見ていました。あの年は寒かった。新年から雪の中を走って行った記憶があります。懐かしいです、、、。(2011年春詠)

朱き実に声絞りきる冬の鵯

庭のクロガネモチの赤い実を目当てにヒヨドリが来ます。集団で来て一日で食べつくすのはもう少し先ですが、その先遣隊のようなものでしょうか。数羽が来て夕日の中でこれでもかと言うぐらいに声を絞っています、、、。(2015年冬詠)

冬朝日巨大煙突けむり吐く

ちょうど散歩の途中で遠くの小高い丘の上に新しいゴミ処理施設の白い煙突が見える。東の山上から出た朝日が最初に照らすのが西のその煙突あたりで、煙を吐く白い煙突の一帯が輝いて見える。煙突と言ってもいつも煙が出ている訳ではなく、朝はよく出ていると思っていたら、市の広報に実際は煙ではなく水蒸気で、大気の温度との関係で白く見えると書いてあった。なるほど最新の施設で煙はないよね、と一応納得はしたが、、、。(2015年冬詠)

行く年の鐘は西方浄土より

いよいよ大晦日、本年も一年お付き合いありがとうございました。普段は聞こえない鐘の音が今夜ばかりはあちこちから聞こえてきます。近く、遠く、大きく、小さく。あたかも西方浄土からの鐘の音のようです。と思っていると最近は、年が明けると同時に花火の音がパンパンと、、、。皆さま良いお年を、、、。(2015年冬詠)

まつすぐに太平洋より冬の船

2011年の年末、四国で過ごした時の句です。五階ぐらいだったでしょうか、朝早くホテルの部屋のカーテンを開けると、窓の下に入江が広がっていました。その向こうに防波堤、そして太平洋。その太平洋から、明け始めた朝の光の中を一隻の貨物船が近づいて来ます。航跡を残しながらまつすぐに、、、。(2011年冬詠)