植ゑられぬままの一枚田水沸く

梅雨が明けると田圃の水は熱せられて、まさに沸いたように熱くなります。掲句の田圃、代掻きまで終わった状態で、なぜかいつまで経っても植えられることが無く、とうとう一年が過ぎました。今年は植えられています。去年は苗が足りなかったのかな、、、?(2016年夏詠)

水神の祠苔むす滝の道

ちょっと耳にして、こんな所に滝があるのかと入って行った山道。どんどん道は細くなり、車がすれ違うのも困難になって来る。どうやら道を間違えたらしいと思い、車を止め外に出ると水音!剥げかけた看板!そこからさらに細い脇道を入ったところのようだった。やれやれ、あぶなく引き返すところだった、、、。(2016年夏詠)

珈琲の香にゆらぎけり夏暖簾

暖簾のかかる入口の引戸は開けられ、奥へと黒く土間が続いている。そこが一番涼しいと知っているのだろう、入口の脇には犬が寝そべっている。淹れ立てのコーヒーの香に誘われるように風が入って来て、暖簾がゆれる、、、。(2016年夏詠)

前をゆく百足の足と人の足

昨年の倉敷での句。ふと見ると観光客に紛れるように百足がせっせと足を動かしている。あの足、でたらめに動いているようで、よく見ると順番に整然と動いている。ところでこの足、何番目と何番目というふうに意識して動かすことができるのだろうか、、、?(2016年夏詠)