榠樝の実持てば凸凹手にそひて

阿智神社には数本のかりんの木があり、沢山の実をつける。この季節になると社務所の窓口の所に「自由にお取りください」の貼紙と共にいくつもの実が置かれている。貰ってどうするわけでもないが手に取ってみる。いくつもを持ち直して、あの独特の凸凹が手になじむ物を一つだけ頂く、、、。(2016年冬詠)

鴉瓜枯野に点を打つ如く

鴉瓜は秋の季語ですが、存在感を増すのは冬に入ってからのように思います。葉を落としていく木にぶら下がって、次第にその姿を現すと同時に赤さを増していきます。それがすなわち今、初冬の時季なのです。当分は楽しめます、、、。(2016年冬詠)

木の実降る小さき社に大き音

近くの神社の裏に行くといくつかの小さなお社が並んでいます。お稲荷さんもあります。お社自体は古いものですが、修復された屋根はトタン葺きです。これに木の実が落ちると大きな音がします。いきなりなもので、ちょっとビックリ、、、。(2015年秋詠)

ひと色に日差集めて秋の蝶

寒くなって、さすがに目にする蝶も限られてきました。白か黄ですね。春に目にするのも早いですから、寒さに強いという事なのでしょう。昼間の温かい日差しの中を舞っているのは良いですが、朝の寒さの中で草にしがみついて日差しを待っている姿は哀れなものです、、、。(2016年秋詠)