まんさくやダム湖に注ぐ川いくつ

ダム湖の水量が減り、周囲に土の色があらわになってくると、そこに多くの水跡が見えてくる。そのそれぞれがかつての小川だったのだろう。いったい幾つの川があったのだろうか。二本が一本になり、また一本が加わり、しだいに太くなった川辺に村が出来、人々のささやかな営みがあったのだろう。その全てを飲み込んで今ここに一枚の湖面がある。そんなことを考えながら国道429号線を走っていたときの句、、、。(2013年春詠)

まんさくや不在てふ札表戸に

通勤途上にあった酒屋の女将さん。ご主人を亡くされ、サラリーマンの息子さんと二人暮しになり、今はとうとう店を畳まれてしまった。これはご主人が亡くなられてしばらく経った頃の句。犬の散歩や、近所にある公民館の花の面倒を見たりと、とにかくよく動かれる方で、店は留守のことが多い。とうとう「不在です」と書いた札を出されるようになった、、、。これって大丈夫(?)と思っていましたが、何もなかったようです、、、。店の前にはいつも季節の花を大胆に飾られて、それを見るのが楽しみで、何句も詠ませていただきました。この句もその一つ、、、。(2011年春詠)