家一戸ぶんの更地や冴返る

草ぼうぼうの土手沿いの空き地に重機が入り、法面の工事やら整地やら、出来上がったのが家一軒分ほどの更地だった。それが昨年の今頃。一年経って思い出して行ってみたらまた草ぼうぼうの空き地に、、、。(2023年春詠)

雲と雲交差する空冴返る

北から西にかけての空に真っ黒な雲が層になって押し寄せて来ている事があります。境目から東は普通の春先の雲です。層になった雲より高いようです。きっとあそこが天気予報の寒冷前線の境目なんだろうと素人としては思うのですが、違いますか、、、?(2022年春詠)

捨てられてバケツ底無し冴返る

砕石場横の草むらにブリキのバケツ、誰がこんなところにと覗いて見ると底が無い。底が無いのにいくつかの空缶が入れてある。一年経った今も同じところに、もう周囲の色になじんで誰も気づかない、、、。(2019年春詠)

川底に赤錆の鎌冴返る

散歩途中に覗き込んだ用水路の底に一本の赤さびた鎌、ずいぶん長くそこに沈んでいたのだろうと思える色、どうして今まで気づかなかったのだろうか不思議なものです。気づけば毎日覗いて見たくなるのですが、やがて水量も増え、水草が生え、いつの間にか忘れてしまいます。これもいつもの事です、、、。(2018年春詠)