如月の霜と拮抗したる日と

朝は一面霜で真っ白、肌を突き刺すような寒さを感じますが、太陽が昇ると途端に空気が柔らかくなって、身体の力が抜けて来るような気がします。そのちょうど真ん中あたりで詠んだ昨年の句、、、。(2022年春詠)

如月や前行く人も犬つれて

二月ももう少し。掲句は昨年、今年は一人になって散歩の時間が変わったせいで、犬を連れた人に遇わなくなった。時々遇うのは「自転車の人」「オッス!のおじさん」「煙草のお姉さん」(いずれも愛称です)、、、。(2019年春詠)

如月の展望台は風ばかり

我が家から見えるテレビ塔のある山には展望台があります。という事は知っていたのですが、上ってみたのは掲句の昨年が初めてでした。山の中腹で、我が家からはよく見えるのですが、展望台からの視界は以外と狭くて、とうとう我が家を探すことは出来ませんでした、、、。(2015年春詠)

如月の田に積まれたる肥袋

さあ始めるぞ、と言った存在感で田の片隅にビニール袋に入った肥料が積み上げられている。少しずつ季節が進むように、農作業も少しずつ進んで行く。冬の間に一度起こされた田はもう緑がかって見えている。次はこの肥料を撒いて、その後をもう一度耕すのだろう、と素人考えで想像しながら通りすぎる、、、。(2015年春詠)

如月や風に晒され貝の殻

旧暦では正月になったばかりで、如月には少し早いのですがこんな句を、、、。この貝の殻、実はカタツムリの殻なんです。そろそろ暖かくなるからと、しばらくほったらかしにして置いた庭の植え込みの下を掃除していると出てきます。中は空っぽ、色は晒されたきれいな白色をしています。貝は死して殻を残す、、、。(2015年春詠)

如月や口縁薄きティーカップ

普段はコーヒーだろうが紅茶だろうが同じマグカップで、サッサと淹れてサッサと飲んでしまいます。もちろんティーバッグはカップに入れたままです、、、。午後の紅茶と言うと何やらCMのようになってしまいますが、たまにはと思い取り出した年代物のティーカップ、テーブルの上の午後の光に、湯気がゆっくりと揺らめいています。縁から下がったティーバッグの紐さえも絵になるようです、、、。(2013年春詠)