骨董屋裏にガラクタ孕猫

ちょっと覗いて見たくなるのが骨董屋。欲しいものがあるわけではないが、とにかく入って一通り眺めてみる。案の定目ぼしいものはなく、外にでて行き過ぎようとして店の横に細い路地を見つけた。路地もまた入ってみたくなる所。塀もない骨董屋の裏はガラクタだらけ。割れた甕やら、ブリキの空缶、タンスもある。その上で日を浴びていた猫が、こちらを見て気怠そうによっコラショと立ち上がった。重そうなお腹、貫禄の雌猫、、、。(2017年春詠)

はらみ猫こちら見てより足早に

どうやら猫の恋の季節は終わったようで、落ち着いて日を浴びる猫を見かけるようになった。掲句の猫、何匹入っているのだろうかと思うほど重そうなお腹で道を横切っていた。どうどうとしたものだったが、それでもこちらに気づくと心持ち足早に。その足取りはこれ以上は無理と言いたげに見えた、、、。(2016年春詠)

母となる強さほの見ゆ孕猫

お腹が地に着きそうになった雌猫がゆっくりと目の前を横断していった。まあ、あれだけお腹が大きければ、動きが緩慢になるのも無理はない、と納得の出来る歩き方だった。堂々として、少しばかり得意そうにも見えるのは、母となる者の強さゆえだろう、、、。(2013年春詠)