絵に描いた形のままに守宮死す

工場にはいろいろな生物が住み着いていた。大きいものでは鼬、鷺、ヌートリアも見たことがある。青大将、鳩、鴉、鶺鴒、雀、雲雀、蝙蝠、鼠。小さいものに団子虫、そして守宮がいる。守宮は多くはないし、どちらかというと隅っこのほうが好きなようで、目立つ存在ではなかった。ある日倉庫の隅の段ボール箱をどかすと、隣り合っていた段ボール箱に張付くようにして干からびた守宮の死骸が出てきた。いきなり段ボール箱に命を奪われたのだろう、まるで何かの絵に出てくるような身体を少し曲げ、四肢を踏ん張ったままの姿だった、、、。(2009年夏詠)