三匹の黒猫ならび春の月

私が前住んでいた所のすぐ近所の猫好きのお宅、いったい何匹いるのだろう(?)と思っていたら、町内の新年会のときにご主人が片手を広げて「餌代がこれだけ!」すかさず「えっ、五千円?」と向かいの席の女性、「違うがな、五、万、円」と、これは隣の席の男性、「飼うとるとなあ、可愛いんで、わしらよりよっぽど金がかかる」と言いながら、ご主人は酒の入った顔を黄門様のように崩した。今はご夫婦での年金暮らし、、、。(2014年春詠)

洗濯の終る音して春の月

電子音のするもの、洗濯機、冷蔵庫、湯沸しポット、炊飯器、体重計、、、、。先日も突然鳴り出したピーピーという警戒音に、二人して探し回ったが、とうとう何の音だか分からずじまいになってしまった。結果として何事も起こらなかったので良しとした。この洗濯機は二十年物で、たえずガタガタと大きな音をさせながら働いているが、終ったときには優しい静かな音がする。早く言えば、間延びした一時代前のデジタル音ということだが。(2011年春詠)