腰据ゑて豆選る漢秋日和

農家の広い縁側で男が一人、収穫した豆の選別をしている。笊が三つあるのは、選別前の豆と良い豆と虫食いの豆用だろうか。さして急ぐ様子もなく、男の手はゆっくりと動く。秋の日差があふれている、、、。(2021年秋詠)

亀の眼のいつも眠さう秋日和

アイビースクエアの一角にある池、亀がたくさん日を浴びている。押し合いへし合いしながら石の上に登ろうとしている。それを見ているだけで面白い。空気に触れて目が乾くからかなあ、目がいつも半眼になっているように見える、、、。(2017年秋詠)

店先の皿に足留む秋日和

古い物が好きで、骨董屋さんやリサイクルショップなんかがあるとつい足が止まってしまいます。かと言って買うわけではなく、ひたすら黙ってあれこれ眺めるだけです。良い物は高い、これが常識で、素人が安いからと手を出すとロクなことがないのは重々承知です。唯一分かるのはパソコンの部品ぐらいですが、それでもジャンク品に手を出して失敗する事も。掲句は倉敷の小さなお店、、、。(2015年秋詠)

窓あけて雀翔たせる秋日和

追い払うつもりはありませんが、窓の外の屋根の上があまりに賑やかなもんで、つい開けてみたくなるのです。開けると一斉に羽音と声がして、飛び去って行きます。後に残るのは暖かい秋の日差です。再び閉めておくと、また三々五々、声が増えて来ますが、そう何度も開けてみるようなことはいたしません、、、。(2013年秋詠)