かまきりの卵赤子のふぐりほど

去年見つけた玄関脇の柱のカマキリの巨大卵、そのままにしておいたら、偶然夏に孵るところに出会った。ほんの数ミリ程度の緑の子カマキリが多量に発生して柱を降りてきた。親となって赤子のふぐり程もあるような卵を産む頃と違って、小さくて実に可愛いが、それぞれ一人前に鎌を持っているのが面白い。子カマキリはその日のうちに玄関から居なくなったが、あの中の何匹が成長して卵を産むほどに育ったのだろうか、、、。(2014年秋詠)

蟷螂の鎌上げ水に顔映す

生まれたての小さなカマキリは可愛いが、10Cmを越すようになると、ちょっと引いてしまう。顔つきもあるが、あのギザギザの付いた前足は、いかにも武器といった感じがする。蟹の爪やクワガタの前足はもっと鋭いが、どちらも掴めば絶対大丈夫な部分がある。ところがカマキリにはそれが見当たらない。どの方向から手を出しても、あの鋭い鎌が襲ってきそうな気がする。(1999年秋詠)

すがり来て蟷螂の腹やはらかし

蟷螂のお腹の中には別の生物がいるのをご存知だろうか。ちょうど輪ゴムを切ったぐらいの太さと長さの糸状で、黒い色をしている。輪ゴムのように丸まったり、伸びたり、クネクネと不気味な動きをする。少年時代には何度も見たが、見るまでの過程は書かずにおこう。(2008年秋詠)