銀杏散る下に佇む小ささよ

近所にあった廃屋の裏に大きな銀杏の木がありました。この地に住みだした頃にはまだ若木でしたが三十年経って立派な大木になっていました。それが今年は廃屋の解体と一緒に切られてしまって、ちょっと寂しい空になってしまいました、、、。(2017年冬詠)

見下ろして一村一寺銀杏散る

川向こうのなだらかな山すそに畑が広がっている。収穫が終った畑に人影は無く、柔らかな午後の日差が降り注いでいる。道はまばらに点在する人家を縫うようにして山へと続いている。その人家が途切れた山の中腹あたりに、一目でそれと分かる寺の大屋根が見える。大屋根の傍には、お決まりのように大きな銀杏の木が、色づいて黄金色に輝いて見える、、、。県北を走っていて見かけた村の風景、、、。(2010年秋詠)

閂で閉ざす社や銀杏散る

近所にある小さな神社、鬱蒼とした森の中の神社の周囲にだけ日差が降ってくるような所である。もちろん普段は宮司も居らず、お参りする人もほとんどいない。掃除も年に何度かの行事の時に行われるのみである。そんな神社なので、境内に点在する数本の銀杏の落葉が、境内やら社殿の屋根を覆いつくしてしまう。神秘的な光景がもうすぐ、、、。(2001年秋詠)