ひび割れの奥に地の闇青田干す

ちょうど青田になった頃、根をしっかりさせる為に一度水を抜いて田を乾かす。昔はもっと遅かった気がするが、今の稲作は田植から収穫まで四か月、今が干し時のようだ。水が引いて太いひび割れが出来、土の匂いがしてくる。しばらく乾かした後に、いつの間にかまた水が入れられている、、、。(2017年夏詠)

植田から青田へ雨の五日かな

<早苗籠>-10 去年は田圃が植田から青田へ変わる頃に雨が多く何日も散歩に出られない日が続きました。やっと晴れて出かけると、田圃はもう青々として青田の様相を見せていたのです。早いものですね、、、。これで早苗籠の十句終了です、、、。(2017年夏詠)

青田中男くゆらす紫煙かな

七月一日、今日から今年も後半です。早いもので、もう田圃は植田から青田へと変わっています。掲句の男性は近所の本気で農業をされている方の一人です。と言っても農業一本となられたらしいのは昨年ぐらいから、時々こんな姿を見ていました。今年は明らかに違います。朝一番から暗くなるまで、田圃に入られています。きっと秋になればその本気度が田圃に現われてくるでしょう。見ているほうも楽しみです、、、。(2014年夏詠)

農小屋の眠れるごとし大青田

農小屋の中には出番の終った農機具や、資材などが入っているのだろう、広い青田の中にぽつんと立っている。錆びたトタン板の、継ぎ接ぎだらけの小屋は、決して立派とは言えないが、経てきた年月の風格が漂っている。真昼の風にさわさわと音を立てる青田をよそに、まるで眠っているようにさえ見える、、、。(2010年夏詠)