やや寒を解きて昇る朝日かな

やっと秋らしくなったと思ったらまた暑くなったりして、季節は気まぐれですね。歩き出した頃は寒かったのに、日差が出ると急に体感温度が上がってきます。もう少しすれば、それを心待ちするようになるのですが、、、。(2016年秋詠)

柿熟るる主在らうと無からうと

我が家の柿も色づいて来ました。田舎ですから柿の木は至る所にあります。空家となったお家の庭にもあります。同じように熟れますが、採る人はなく冬を迎えます。我が家では一応すべて消費するようにしています、、、。(2016年秋詠)

鯉跳ねて秋の均衡崩れけり

空と山と川と、それぞれの秋が程よく調和して静かに時が流れている。そんな中にどっぷりと浸っていると、いきなり川面で大きな音がする。目をやった時にはすでに半ば沈みかけている鯉、同時に水輪が大きく広がって行く。瞬間に私の頭の中の秋の均衡は崩れ去っていた、、、。(2016年秋詠)

木に絡むまだ艶めける穴惑

掲句は昨年、我が家の生垣に見つけた冬眠前の蛇、、、。今年は蛇の数が少ない年でした。餌となる小動物が少なかったという事なのかも知れません。そう思って考えてみると、確かに河原で聞く牛蛙の声も少なかったように感じます、、、。我が家に来る蛇は少なくて結構なのですが、、、。(2016年秋詠)

面影のあらで色なき風の駅

掲句、昨年の秋、久しぶりに駅に行くと工事中で、以前とはまるで違っていた。工事用の仕切りに囲まれた一画、以前は何か建物があったような記憶があるが、それが何だったか思い出せない。広い空間にポツンと置かれたベンチに腰かけてしばらく風に吹かれてみた、、、。(2016年秋詠)