法然の産湯の井戸にあめんばう

先日我が家の雨水を溜める甕の中にアメンボを見つけました。掲句は昨年4月14日の日付があります。誕生寺吟行での句です。ちなみにアメンボは「水馬」「あめんばう」、夏の季語です、、、。(2016年春詠)

山上に発電風車黄砂ふる

霞なんだか、黄砂なんだか、はたまたPM2.5なんだか、と思って眺めた遠くの山上に発電用の風車が並んでいるのを見つけた時の句。そう思って眺めると、遠くの山のいくつかは頂上付近の木が伐採されて、なんだか散髪の後の頭のようにスッキリしている。発電風車やソーラーパネルが並ぶのだろうか、、、?(2016年春詠)

はらみ猫こちら見てより足早に

どうやら猫の恋の季節は終わったようで、落ち着いて日を浴びる猫を見かけるようになった。掲句の猫、何匹入っているのだろうかと思うほど重そうなお腹で道を横切っていた。どうどうとしたものだったが、それでもこちらに気づくと心持ち足早に。その足取りはこれ以上は無理と言いたげに見えた、、、。(2016年春詠)

鳥の影見えて落花のしきりなる

散り始めた桜並木の中に、ひとところだけ散り方の激しい所がある。よく見ると重なった花の枝の奥に何やら動くものが見える。と、気づいた瞬間にバタバタと鵯が飛んで行った。それでまたひとしきり激しく落花が続くのだった、、、。(2016年春詠)

花冷や遠き工場の朝の楽

朝の始業のチャイムやら、ラジオ体操の音楽やら、歩いていると遠くの工場や会社からいろんな音が聞こえてくる。自らがその中で働いていた頃には聞くことが無かった音、こんな風に聞こえるものなのかと、五年も経って改めて思う、、、。(2016年春詠)