大太鼓足裏に響き初祓

古い句を引っ張り出しています。遅ればせの新年の句ですがご容赦を。いつもお参りする落合の木山神社、拝殿に並べられた床几に腰かけ、頭を垂れて祝詞を聴きます。ドンドロドンドロと低い太鼓の音が床を伝わって足裏から響いて来ます。祝詞はよくわからないのですが、太鼓の音と相まってそのリズムが何んとも心地よいのです、、、。(2003年新年詠)

左義長の残り火明し川向

今は休日に合わせた行事が多いですが、本来は今日が「とんど」と言う所が多いのではないでしょうか。掲句は川を挟んだ隣村のとんど、河原で大々的に行われます。夕暮れに散歩に行く頃には、ちょうどその残り火が、、、。(2003年冬詠)

チェンソーの音は冬木の悲鳴とも

町中に住んでいるとチェンソーの音と言われてもピンと来ないでしょうね。もちろん田舎に住んでいても日常的に聞こえる音ではありません。掲句はたまたま散歩の途中で川向うの山の奥から聞こえて来たチェンソーの音です。ちょうど悲鳴を機械音に変換したような音、と言っても、、、。(2015年冬詠)

待春の瀬戸の大凪小凪かな

四国勤務のころ、毎週渡っていた瀬戸大橋、余島のパーキングエリアでの句です。遅かろうと早かろうと、とにかく余島で止まって海を見ていました。あの年は寒かった。新年から雪の中を走って行った記憶があります。懐かしいです、、、。(2011年春詠)

朱き実に声絞りきる冬の鵯

庭のクロガネモチの赤い実を目当てにヒヨドリが来ます。集団で来て一日で食べつくすのはもう少し先ですが、その先遣隊のようなものでしょうか。数羽が来て夕日の中でこれでもかと言うぐらいに声を絞っています、、、。(2015年冬詠)

冬朝日巨大煙突けむり吐く

ちょうど散歩の途中で遠くの小高い丘の上に新しいゴミ処理施設の白い煙突が見える。東の山上から出た朝日が最初に照らすのが西のその煙突あたりで、煙を吐く白い煙突の一帯が輝いて見える。煙突と言ってもいつも煙が出ている訳ではなく、朝はよく出ていると思っていたら、市の広報に実際は煙ではなく水蒸気で、大気の温度との関係で白く見えると書いてあった。なるほど最新の施設で煙はないよね、と一応納得はしたが、、、。(2015年冬詠)