腑分け図を見て来し後の秋気かな

津山の城東地区に洋学資料館があります。昨年そこの企画展で江戸時代後期に津山で行われていた罪人の死体を使った腑分け図の展示があるというので怖いもの見たさもあって見に行きました。その後で詠んだ句です。迫力がありました、、、。(2015年秋詠)

秋驟雨梁に雀が羽ふるふ

いきなり降り出した雨を部屋の中から眺めていると雀が一羽飛んできた。雀は部屋の前のカーポートの梁にとまり、ちょうど映画のシーンで人間が雨宿りに入った軒先で、「いやあまいった、ひどい降りだなあ」と雨を見ながら手で濡れた着物の雨水を振るう場面のように、雨を見ながら羽を振るって手入れを始めた。全くこちらに気づいていないその仕草が自然で面白かった、、、。(2015年秋詠)

老人と話して秋の蚊に刺され

吟行途中で話しかけられ、しばらく逃げられずにいるうちに蚊に刺され、あちこち痒くなってきたときの句です。お年寄りの話は出来るだけ聞いてあげるようにしていますが、この時ばかりは途中で、、、。(2015年秋詠)

雲去れど月電線を離れ得ず

今日は十五夜です。また次の台風が近づいていることもあって、今夜の月は微妙ですね。掲句は昨年、台風の前ではなく、台風の後の月です。十五夜ではなかったと思います。ちょうど電線にかかった状態の月を雲が通り過ぎて行きます。その度に月は隠れたり出たりするのですが、出てくると月はやっぱり同じところにあるのです、、、。(2015年秋詠)

つややかに匂ひ干さるる山椒の実

少し北へ上がって奥津湖畔にある施設で見かけた景です。山椒は実のなる木とならない木があります。我が家の裏にも鳥の運んだ種から何本も育っていますが、実のなるのは用水路脇の一本だけです。それも小さな木に今年初めて、まだ干すほどはありません、、、。(2015年秋詠)

彼岸花咲いて墓域の明らかに

まだ多くはありませんが彼岸花が咲き始めました。掲句はちょうど彼岸の頃、久しぶりに遠回りをした散歩途中の墓地、墓地とそこへ続く細い道が彼岸花で囲われていました。今までそこに墓地があることも知りませんでした。彼岸の頃に咲くから彼岸花ですが、墓地に咲きやすいのも事実、そして花の形も、、、。(2015年秋詠)