囲を抜けて蜘蛛一匹を連れ歩く

前にも書きましたが、この時期歩く度に新しい蜘蛛の巣に出会います。ぶつかる前ならそ避ける、ぶつかったらエイヤッと払って通り抜けます。問題はその払った蜘蛛の巣と一緒に蜘蛛が身体にくっついて一緒に出掛けてしまう事です。思わぬ時に首筋あたりがモゾモゾとして、何かと思って手に取ってみれば蜘蛛、、、。(2015年夏詠)

うつかりと犬に躓く昼寝覚

昼寝の季節になりました。と言うか、いつの間にかうとうと。これも夏を乗り切るために身体の覚えた自然の摂理と受け止めて。なら良いのだが、問題は用事があるのについ眠ってしまった時。ハッと気づいて覚めきらない頭で歩き出そうとした足元に大きな黒いかたまりが、、、。(2015年夏詠)

電子てふ首から下げし蚊遣香

便利になりましたね。外で仕事をする時は腰にぶら下げる蚊取線香のほうが効果的ですが、ちょっと散歩にという場合はもっぱら電子蚊取です。吟行にも電子蚊取をと思うのですが、たいていの場合は忘れてひどい目に遭います。まあそれも句材のうちで、このシーズンは吟行に出ればたいてい一句や二句は蚊の句が出来てしまいます、、、。(2015年夏詠)

夏潮や手持無沙汰に土産売

平日の児島観光港、閑散として傍の土産物のお店も暇そう。いったん入ってみたが、何だか場違いな感じでそうそうに出てしまいました。何はともあれ目的の一つ、海を見ることだけは十分に出来ました、、、。(2015年夏詠)

不屈なる頑固爺さん大南風

その児島での句会、久しぶりの多人数で懐かしい皆さんにお会いできて楽しいひと時でした。掲句、癌の手術から復帰して来られたばかりのMさんへの快気祝いのつもりの句でしたが、誰にも採ってもらえませんでした。トホホ、、、。(2015年夏詠)

塀越しに見ゆる木槿の五つ六つ

七月になりました。木槿は秋の季語ですが、我が家でももう咲き始めています。掲句は昨年の七月二日、児島の憩いの家にお邪魔した時の句です。句会には早すぎて、ソファーから眺めた庭の塀の向こうに隣家の木槿が咲き始めていました。今年も咲き始めているでしょうね、、、。(2015年夏詠)

降り出せばすぐに休憩草むしり

元から仕方なしにやっている草むしり、何かと理由を付けては休憩に入る。その代表が雨、降りそうなときは、最初から途中止めになっても良いようなところをむしっている。一粒二粒でも落ちて来ようものならさっさと休憩に入る。出来ることなら中途半端に上がらないように願っている。明日で良いことは明日に伸ばす。なんとやわな身体になってしまったことか、、、。(2015年夏詠)

紫陽花や鉄階錆びし工場跡

二階建ての建物の外階段をトントントンと登ったところに事務所がある。階下は工場、開けっ放しのシャッターの奥から機械の音が聞こえてくる。階段の傍の植え込みには雨に濡れた紫陽花が、、、。と言った感じの町工場だったのだろう、今はシャッターも薄汚れ外階段は赤く錆び付いて、二階へ上がるのは危険そうに見える。紫陽花は植え込みからはみ出すぐらいに育って、濡れた青色がやけに綺麗だ。さて、何の工場だったのだろうか、、、?(2015年夏詠)

蜘蛛の糸引けば向うの枝動く

毎日毎日蜘蛛の巣が出来て、注意しているのに引っかかってしまう。それも朝いちばんに新聞受けまで歩く間に。蜘蛛にとっても迷惑なことで、せっかく作ったところに餌にはならない人間がかかるのだから。蜘蛛のほうも少しは考えて通れと思っているかも知れない、、、。(2015年夏詠)

切目なき手水の音の涼しさよ

涼しさを感じるものに水音があります。掲句は阿智神社の手水の水音です。いつも程よい音でちょろちょろと流れています。信心深いわけではありませんが、貼ってある手水の使い方の案内に従って、、、。(2015年夏詠)