教会の木椅子の硬しクリスマス

考えてみれば本物の教会へ行ったことは一度しかない。それもクリスマスではなかった。下宿していた友人の家のお姉さんがクリスチャンで、収穫祭の教会へ連れて行ってくれた。下宿していた場所も田舎だったが、その教会も、どうしてこんなところに?と思えるような農地が広がる中にポツンとあるちいさな古びた建物だった。お姉さんと、友人と、私と、一緒に下宿していたもう一人の友人と。お姉さんを除く我々は、けっして敬虔な心など持ち合わせていなくて、ただただ美味しいものが食べられるとの言葉につられただけだった。教会に集まった皆さんはどの方もとてつもなく優しかった。細長い机と硬い木の椅子、暖かい薪ストーブ、収穫に感謝し、讃美歌を歌い、そして最後にパンと鳥の足のささやかな食事が出た。鳥は鶏だったのか七面鳥だったのか、とにかく飢えた若者たちが敬虔な気持ちになるには十分な美味しさだった。この次はクリスマス、のはずだったが冬休みに入るとさっさと帰省し、次の年の春には下宿を離れ学生寮に入ったので、二度と教会へ行くことはなかった、、、。(2002年冬詠)

「教会の木椅子の硬しクリスマス」への2件のフィードバック

  1. いい経験をしましたね。
    クリスマスにも参加していれば今頃はクリスチャンだったかも。

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