三匹の侍然と着ぶくれて

去年まで朝の散歩で出会っていた散歩仲間らしい男三人連れ、どういう訳か今年は会わなくなった。一人は私より若そうながっしりした体格の男、一人は背の高いひょろりとした男、もう一人は一番年上らしい小柄な男。三人三様に着ぶくれて、横一列で歩いて来るとそれなりに絵になっている。すれ違う時に挨拶を交わすだけだが、会わないとなると気になる。どうされているのか、、、。(2019年冬詠)

着ぶくれて露座売並ぶ河畔かな

昨年暮れの倉敷美観地区での句です。美術館あたりの河畔に並ぶアクセサリーを売る露店、寒いにつけ暑いにつけすっかり風景に溶け込んだ存在でした。それが今年は禁止になったとか。細かい理由は分かりませんが、あの風景が好きだった者にとっては寂しいかぎりです、、、。(2019年冬詠)

自転車も人も老いたり着ぶくれて

近所の女性から「自転車の小父さん」と呼ばれるようになって久しい強面の小父さん。自転車の後に雨傘、頭には鳥打帽、黒の革ジャンパー、臙脂色のズボンのが定番のスタイルで、黙々と自転車を漕いで仕事(たぶん)に向かう。帰りには自転車の前かごに数点の買物を入れて、やはり同じように黙々と自転車を漕いで、、、。その小父さんを久しぶりに見かけた時の句。革ジャンがダウンの防寒着に変わり、自転車が漕ぐ度にガシャコン、ガシャコンと音を立てていた。強面に変わりはないが、心なしか年老いて見えた、、、。(2017年冬詠)

露座売の着ぶくれてなほ寒さうに

掲句、昨年の11月23日の日付、倉敷美観地区での句です。昨年はだいぶ寒かったのでしょうね。今年は暖冬、と言われてその気になっている内に、じわりじわりとやって来ましたね、寒気が、、、。(2017年冬詠)

ヨガマットくるくる巻いて着ぶくれて

一目でヨガ教室へ通うと分かるご婦人方、それぞれにくるくる巻いたマットを持って教室へと消えていく。教室の中は暖かいのだろうか、そうでないとあのままではポーズもままならないだろう。と思えるほどに着ぶくれて、、、。(2016年冬詠)

着ぶくれを極めトイレのままならず

昔に比べると防寒着もずいぶん進歩しましたね。薄くて暖かい下着は常識になってしまいました。それを重ね着して、セーターを着て、さらに一番上にはダウンのモコモコの上着、結局昔よりも着ぶくれているような、、、。(2016年冬詠)