血を吸うて尚離れざる秋の蚊は

なかなか昼間は涼しくなりませんね。庭仕事をしているといまだに蚊に悩まされます。それも夏よりもしつこい気がします。活動出来る期間はもう少し、蚊だって必死なのは分かりますが、、、。(2020年秋詠)

老犬の遅し秋の蚊道連れに

人間が普通に歩くと蚊はついて来られないから刺される事は無いと何処かで聞いたような記憶があります。でも老犬はそうは行きません。狙われるのです。同じ速度で歩いていても、私より犬のほうが狙われます。気づけば追っ払ってやるのですが、少し経てばまた、、、。(2018年秋詠)

老人と話して秋の蚊に刺され

吟行途中で話しかけられ、しばらく逃げられずにいるうちに蚊に刺され、あちこち痒くなってきたときの句です。お年寄りの話は出来るだけ聞いてあげるようにしていますが、この時ばかりは途中で、、、。(2015年秋詠)

秋の蚊の必死こちらも必死なる

暦を見たら今日のところに「十方ぐれ入り」と書いてある。何のことやら分からないので調べてみた。十方暮 : 民間暦で甲申(きのえさる)の日から癸巳(みずのとみ)の日までの一〇日間をいう。この間は天地陰陽の気が和合しないで、十方の気がふさがり、万事に凶であるという。 [国語大辞典(新装版)小学館 1988] という事らしい。ご用心、、、。(2014年秋詠)

秋の蚊を打つてわが血が掌に

コガタアカイエカでは無く、たっぷりと血を吸った大きなヤブカ、膨れた腹のあたりが赤く透けて見え、飛ぶのもやっとという姿。それをパーンと小気味良い音をさせて打つと、開いた掌に血の跡がべっとり。これが血の色だったか、、、と、久しぶりに自分の血を見た瞬間だった、、、。上手く蚊が打てたのも久しぶりだったような、、、。(2011年秋詠)