<早苗籠>-9 いまだに不思議なのですが、田圃に水が入ると急に蛙の声が聞こえるようになります。田蛙です。夜の田圃は賑やかです。一斉に鳴き出して、一斉に静かになります。これも不思議ですね。その蛙、夜に備えて休息しているのでしょう、昼間はいたって静かです、、、。(2017年夏詠)
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山藤を映して朝の田水澄む
山間の田んぼは田植えが早い。句会への途上で見かけたそんな田んぼの一つ、もういつ植えても良い状態なのだろう、田んぼの水は澄み、すぐそばに迫った山藤が見事に映っていた、、、。(2017年春詠)
行く春の川を見つめて男立つ
散歩途中で見かけた景、理由はわかりません、、、。(2017年春詠)
ガラガラと引戸八十八夜かな
書けば「ガラガラ」だが、アルミサッシと木製では音が違う。軽やかに動く木製の引戸は気持ち良い。それも暖簾の向うの年季の入った木製の引戸、、、。(2017年春詠)
街騒の音の後に暮の春
石段を上り振り返ると遠くまで甍の波が広がっている。車の音、クラクションの音、途切れることのないざわめきが街の底を這うように聞えて来る。あふれる日差に甍は光り、その向こうにある山は半ばかげろうように見えている。明らかに夏は近い。阿智神社にて、、、。(2017年春詠)
陽炎や電車揺れつつ現るる
遮断機が下りてずいぶん経ったような気がする。はるか向こうで緩やかにカーブした線路に電車が現れる。日差を反射して光る線路に陽炎がたっている。電車はその陽炎の中を揺れながらゆっくりゆっくりと近づいて来るのだが、そう思うのは私だけで、通過する電車の速度は意外と速い、、、。(2017年春詠)
益荒男の今も負けん気葱坊主
大正十三年生まれのMさんと句会でご一緒するようになって一年が過ぎた。お元気でいつも格調高い句を詠まれ、とても九十を過ぎている方とは思えない。俳句にも生活にも常に前向きで、いつも良い刺激を貰っている。ああいう風に生きられるなら年を取るのも満更悪くはないかも知れない、、、。(2017年春詠)
一日を眠りて犬の日永かな
老犬はよく眠る、、、。(2017年春詠)
さらさらと風の渡りて竹の秋
竹は春になると地中の筍のために養分を使うので葉が衰えると歳時記に書いてあります。人間の子育ても似たようなものですね、、、。(2017年春詠)
囀や笙ひちりきの音の間を
倉敷阿智神社にて。結婚式の最中だろうか拝殿の中から聞えてくる雅楽と周囲の杜から聞えて来る囀のコラボレーション、見事、、、。(2017年春詠)