つきさうでつかぬ川面の夏柳

掲句は西川緑道公園の夏柳、倉敷美観地区の柳は年に何度か剪定されて夏もすっきりした姿を見せているが、こちらはそうではない。長く枝垂れた枝の先が今にも流れに浸かりそう。でも浸かっていない。これはこれで風情がある。幽霊が出るとすれば美観地区の柳よりこちらだろう。もう少し季節が進めば浸かった枝先も見える、、、。(2015年夏詠)

売声を受けて流して夏柳

久しぶりの倉敷美観地区。観光客の増え始めた午前十時過ぎ。川沿いの土産物屋もぼちぼちエンジンがかかってくる頃。元気なうちに売っておこうと売子が声を張り上げる。そ知らぬ顔でベンチに腰を下ろし、俳句手帳を取り出す。客ではないと分かったかな、心なしか売子の声が小さくなったような気がする。風にゆれる夏柳の緑がきれいだ。(2012年夏詠)