新しき道を祝くごと春の虹

久し振りに通ると長い間工事中だった道路が完成していた。山沿いをくねくね走っていた道が、田圃の中を真っすぐに伸び、その道路の脇から空へと虹がかかっていた。暫くはその虹を追いかけるように、、、。(2019年春詠)

遠く来て霞の中の我が家かな

展望台から、たぶんこの方向に我が家があるはず、と目を凝らす。この川がこう曲がって、あそこに見えるのがあれだから、微かに見えているあれが我が家だろうか?春の霞のせいか、老いて行く視力のせいか、我が家らしい小さな家がぼんやりと、、、。(2019年春詠)

春愁や猫の生涯想ひもし

野良猫の生涯は四、五年のものらしい。とすれば今我が家にいる猫も、すでにその半分ぐらいは消費している事になるのだろう。我が家に来る前は兄弟で河原の茂みの中で暮らしていたようで、野生そのものだった。その一緒に来た兄弟の一匹が亡くなったのが去年の今頃だった。ある日突然庭の木の下で死んでいた。外傷は無かったし来た時からいつも鼻水を出しているような猫だったから病死だったのだろう。せっかく餌に困らない環境を見つけたのに、一年もしない内に亡くなるなんて、、、。(2019年春詠)