水音の覗けば速し春の川

春の日差に誘われて足を延ばした散歩道でのこと、橋でもないのに下から水音が聞こえます。道は川に沿っていますが、反対側に川は見当たりません。なんでだろうと思って道路の川側を覗いて見ると、下のほうに大きな暗渠の出口が口を開けています。なるほどこの音かと納得できましたが、それにしても反対側に全く存在が分からない暗渠も珍しい。暗渠の入口はどこだろう、と好奇心が、、、。(2022年春詠)

水音のくるりくるりと春の川

川底のちょっとした凸凹と水量が音に変わるのですから不思議なものですね。春になって水量の増えた小川の軽やかな音、くるりくるりとまるで小さな水車を回しているような音がするのです、、、。(2017年春詠)

トンネルを抜けて水来る春の川

自然の川の流れも良いのだが、琵琶湖疏水を見てからは人工の流れにも惹かれるようになった。掲句は琵琶湖疏水では無く、川というか用水というか、水が丸ごとトンネルから出て来ていた、普通の田舎の小さな流れの風景。人工の流れにはトンネル以外にも、橋を渡ったりサイフォンの原理で川の底をくぐったりと、風景ののどかさとは別の面白いことがある、、、。(2014年春詠)

春の川魚影たしかめつつ歩く

川と言っても小さな川ですが、それでも魚影は濃く、学校から帰ると日課のように釣に出かけました。小さな川は大雨が降ると川の流れまで変わり、釣のポイントも変わります。新しい大物も上って来ます。だから大雨が降ると水が引いた後の釣を楽しみにしていました、、、。昔と比べるとずいぶん流れが変わりましたが、ポイントの場所には面影が残っています。人影に驚いて逃げる魚影も見えます。歩きながら、もう釣竿も残っていないだろうなあ、なんて思うのです、、、。<その6>(2009年春詠)