自転車の尻に挿す傘梅雨晴間

傘を差して自転車に乗るなんて、今の交通事情では危なくってお勧め出来ませんが、昔は普通に乗ってましたね。降ってない時は畳んだ傘を、サドルの後のすき間からペダルのところへ差し込んで、颯爽と、、、。颯爽と、とは行きませんが気まぐれに自転車で通勤していた時の句です。(2003年夏詠)

家ひとつ建ち上がる音梅雨晴間

散歩コースに古い造成地がある。出来たのはもう二十年以上前になると思うが、家が数軒建っただけで、後は分譲地の看板が何度か作りなおされて建ったぐらいのものだった。そこに車の出入りが始まり、やがて足場が組まれていった。建前は狙ったように梅雨の晴間の一日だった。よそ様の家ながら、遠くから見える空に伸びきったクレーンや、響いてくる高い槌音は気持ちが良い。何とか今日一日降らずにいてくれる事を祈るのみであった。(2012年夏詠)