吉備津神社近くのはなぐり塚での句、、、。近年蚊に嫌われているのか、あまり刺されることがありませんでした。それが今年は、なぜか早くから蚊に刺されるのです。蚊が多いのか、それとも油断しすぎなのだろうかと、腕の裏側を掻きながら考えているところです、、、。(2008年夏詠)
カテゴリー: 2008
冬の鵯夕日に声を絞りけり
テレビで鵯の渡りの映像を見ました。四国の佐多岬から九州へ向けて渡るところでした。群をなして鳴きながら渡っているところは鵯らしいと思いましたが、上空に鷹が現れると一斉に急降下して、海面すれすれを滑るように渡っていくところは、鵯には悪いですが、鵯らしからぬと思ってしまいました、、、。それより何より、鵯も渡鳥だったのですね。俳句では鵯は秋の季語ですが、私の生活環境の中では冬のほうが印象の強い鳥です、、、。(2008年冬詠)
走馬灯ふすまの影もまはりけり
夜の田舎道を走っていると、時々軒下に明々と吊るされた新しい盆提灯を見ることがある。そのお宅を知っているわけではないが、何度も走っている道だから、何となく新しく盆を迎えたお宅と感じられる。後の明々と灯された座敷にはきっと走馬灯が回っているのだろう、華やかに、そして静かに、、、。(2008年秋詠)
狂ひたる蝉一晩を鳴き明かす
我家の庭からも毎年何匹もの蝉が出てくる。時たまこういう蝉がいる。暑くて眠られない夜が、よけいに眠られなくなってしまう。困ったものだが、かと言って夜中に庭に出て昆虫採集も出来ないし、もんもんとして朝を迎えることになる、、、。(2008年夏詠)
石橋の下に小流半夏生
これは植物の半夏生、今日は暦の半夏生です、、、。Hさんは時々家で咲いた花を持ってきては事務所の机に飾っていた。「渡辺さん、これ知っとる?」とHさんに見せられて、直感的に「半夏生?」と答えたが、それまで本物は見たことがなかった。しかし、その半夏生はまさにイメージ通りの花だった、、、。その半夏生を通勤途中で見つけたのがこの時だった。昔の、溝を掘っただけのような小さな用水路の、石橋を抜けた曲がり角に、流に根をおろすようにして群を作っていた。たぶん自生で、それまでもあったのだろうと思うが、Hさんに本物を見せられたことで、私の中の半夏生のイメージが確定したのだろうと思う、、、。(2008年夏詠)
菊挿芽名札に小さき女文字
前のお宅の女主人が菊を育て始めたのがこの頃だったのだろう。あれから五年、今年もまた軒下の苗箱に整然と挿芽が並び、白い名札が立ててある。小さな女文字が新しい、、、。あれから毎年楽しみにしているが、上手く育つ年もあればそうで無い年もある。気がつけばいつの間にか鉢ごと無くなっていることもあり、大輪の菊を咲かすのは、なかなか難しいようだ、、、。(2008年夏詠)
女房の二の腕ほどの青大将
この辺りでは「ネズミ捕り」と呼ぶ人が多い。その呼び名の通り鼠を捕るので、嫌われる蛇の中にあっては位が高い。大きいものだと2メートルぐらいになる。太さは掲句の通り、、、。(2008年夏詠)
花疲れ足に重たき安全靴
初めて合歓の会の吟行に行った翌日の句、疲れました、、、。(2008年春詠)
羽音して落花しばらく続きけり
鳥の羽音には夢がある。例えば頭上を過ぎ行く鴨の群の撓るような強い羽音には、渡り行く旅路の果ての私の知らない世界のことを想う。庭の椿に来る密やかな羽音には、今蜜を吸っているであろう小鳥の見えない姿を、周囲を気にしながらのその仕草とともに想う、、、。掲句は足守吟行のおりの句、飛立ったのはヒヨドリだったろうか、、、。(2008年春詠)
霜枯の野に新しきけもの道
毎日散歩しているのに、突然にこんな道を発見することがあります。ほとんどが河原ですから、ヌートリアぐらいかなと思いますが、、、。(2008年冬詠)