石橋の下に小流半夏生

これは植物の半夏生、今日は暦の半夏生です、、、。Hさんは時々家で咲いた花を持ってきては事務所の机に飾っていた。「渡辺さん、これ知っとる?」とHさんに見せられて、直感的に「半夏生?」と答えたが、それまで本物は見たことがなかった。しかし、その半夏生はまさにイメージ通りの花だった、、、。その半夏生を通勤途中で見つけたのがこの時だった。昔の、溝を掘っただけのような小さな用水路の、石橋を抜けた曲がり角に、流に根をおろすようにして群を作っていた。たぶん自生で、それまでもあったのだろうと思うが、Hさんに本物を見せられたことで、私の中の半夏生のイメージが確定したのだろうと思う、、、。(2008年夏詠)

降りさうで降らぬまま暮れ半夏生

二十四節気七十二候のうち、夏至の三候。早く言えば半分夏の頃で、中途半端な私にはピッタリの季語かも知れない、なんて思いながら詠んだ初心の頃の句。おりしも梅雨明には間のある空もどんよりと中途半端でした。作った頃は仮名遣いも中途半端でしたが、それがここにあります。旧仮名にしておけばよかったと、今更ながら思うのですが、そうそうたる俳人の中に混ぜて頂くって、気持ちいいものですね。(1999年夏詠)