水止めて田の土臭ふ梅雨晴間

梅雨の合間を縫って田圃の水を抜くのは稲の株を強くするためのようです。梅雨の晴間の熱気と湿気に混じって、ぷーんと土の匂いがしてきます。田舎育ちには懐かしい田圃の土の匂いです、、、。(2019年夏詠)

番傘の干され社務所の梅雨晴間

番傘で良かった。社務所にビニール傘じゃあ句にならないところでした。昨年の倉敷阿智神社での句です。今年は傘を干すことが無いような晴間続きでしたが、そろそろ梅雨本番になりそうですね、、、。(2016年夏詠)

建前のクレーン伸びきる梅雨晴間

梅雨の晴間だけのことではありませんが、思わぬところで空に伸びたクレーンを見るのは何となく好きです。掲句、そのクレーンが完全に伸びきって、梅雨の垂れ下がった雲に今にも届きそうな感じだった。だいぶ遠いところだが何が出来るのだろうかと、そのクレーンの下あたりの地図を頭の中に描いて想像するのも楽しい、、、。(2013年夏詠)

鳥鳴いて鳥が応ふる梅雨晴間

吉備津神社の裏山に「あじさい園」がある。急な斜面にたくさんの紫陽花が植えられており、紫陽花を見ながら細い山道を登るのだが、これが結構しんどい。登りきったところに岩山宮という小さな社がありベンチが置いてある。ここに腰を下ろして下界を見下ろしていると鳥の声がする。四十雀だろうか、山の上のほうで声がすると、それに応えるように下のほうからも声がする。これが何度も何度も繰り返されるのである。(2008年夏詠)