我家の雨蛙くんは雨戸の戸袋がお気に入りのようだ。それにしても、毎年毎年いるということはつまり、代が替わっても延々と引き継いでいるということなのだろうか、、、?(2011年夏詠)
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どの路地を行くも潮の香浦の夏
宇野港での句。海の傍なんだから当たり前ですが、山の中で暮らしていると、潮の香りぐらい新鮮なものはありません、、、。同じように、海の近くで暮している人は、山の中に行くとむせ返るような緑の匂いを感じるのでしょうか、、、。(2013年夏詠)
三尺寝さそふベンチの風であり
宇野港での句。豪華客船近くの日陰に置かれたベンチに座り、海からの風を受けていると自然と眠くなってしまう。いやいや眠ってはいられないぞ!昼食と句会が待っている。昼食と句会は「どてきりや」さんという坂の上の洒落たお店でした、、、。(2013年夏詠)
客船の夏のカンバスはみ出せり
宇野港での句。埠頭の端っこまで行くと、外国の大きな客船が停泊していた。白い船体がまるで眠っているようだった。どのくらい大きいかと言うと、比較するものが無いのでわからないが、写そうとしたらカメラに入りきらなかった。フェンスが設けられ、制服の警備員が何人も立っていて船体には近寄れなかった。だからきっと、豪華な客船なんだろう。船旅も良いだろうなあ、豪華でなくても、、、。(2013年夏詠)
人なくて薄暑の広場ただありぬ
宇野港での句。瀬戸大橋が出来るまではフェリー待ちの多くの車で賑わっていたのだろう。しかし今はその面影は無く、駅前から埠頭へかけて空地が広がっている、、、。高速道路も瀬戸大橋も無かった時代にも何度か車で徳島まで出張したが、津山から片道6時間ぐらいかかっていた。だから宇野から高松へのフェリーでの1時間が貴重な休憩時間になっていた。おまけに運転が下手ということになっていた私がハンドルを任される心配はなかったので、私はこの時とばかりにしっかりと船旅を堪能出来たのである、、、。(2013年夏詠)
夏つばめ沖より帰りくる港
宇野港での句。港の燕なのだから、沖に出て虫を捕ってくるのは当たり前なのですが、港で眺めていると、なぜかそれが、人間の漁の営みと重なって感じられて、こんな句になってしまいました、、、。(2013年夏詠)
桟橋のきしむ夏潮寄する度
宇野港での句。山の中で暮らしているので港には疎い。観光船用だろうか、海に突き出した色鮮やかな屋根のある桟橋が、波に揺れて軋んだ音をたてていた、、、。その昔、小学校の修学旅行で四国に渡る時に宇野港から連絡船に乗った。天気が悪く、船の上は決して快適とは言えなかった。乗り合わせた自衛隊員が甲板に座り込んで、缶詰を開けていた。見るとご飯の缶詰で、おかずも缶詰だった。それがなんだか美味しそうに見えて、以来憧れの缶詰になってしまいました。へんな修学旅行の思い出ですね、、、。(2013年夏詠)
こつそりと駅の燕の子が覗く
宇野駅での句。駅でわざわざ燕の巣を見上げるのは我々俳人ぐらいのものかも知れません。ちょっと首をかしげた燕の子と眼が合ってしまいました、、、。(2013年夏詠)
緑蔭の風に預くる五感かな
国道53号線の道の駅くめなんでの句。暑い日だった。句会からの帰りにちょっと休憩、大きな欅の木の下のベンチに腰を下ろすと、心地よい風が身体を撫でて行く。途端に全身の力が抜けていくような感じ、「もう俳句なんかどうでもいいか」と、しばらくはその風に浸っていたが、そこはそれ、しっかりと一句拾って帰った、、、。(2013年夏詠)
機関区に汽笛短し夏つばめ
機関区には心惹かれるものがあって、つい立ち止まってしまう。広い敷地にも、古びた大きな建物の中にも、何本ものレールが引かれ、整備待ちや終わった車両が何台も止まっている。夏には道路側の大きな扉が開かれ、整備中の車両が見えたり油の匂いがしたりする。機関区の空は広い。何羽もの燕が飛び交い、時たま短く合図の汽笛が聞こえる、、、。(2013年夏詠)