窯出しや乾ききつたる炭の音

遠い記憶の中にいくつか、祖父の炭焼の場面がありますが、その中の一つが窯出しの場面です。真っ赤に燃えていた炭窯の焚き口に、練った赤土を塗って火を止めます。それから何日後だったでしょうか、窯出しが始まります。窯に入るとまだ暑いぐらいの熱が残っています。その暗がりの中に長さ1メートルほどの焼きあがった炭が整然と並んで立っています。それを壊さないように一本ずつ運び出すのですが、完全に水分の抜けた炭は結構硬く、炭同士が触れるとなんともやさしい金属音がするのです、、、。(2001年冬詠)