町内の役員をしていた頃、年に二回ほど役員会と称して一杯飲む会が開かれていた。少人数で、酒もつまみも年寄の町内会長が自ら手配してくれ、一番下っ端の私はごちそうになるだけと言う有難い会だった。会長にしてみれば、我々役員を手なずけておこうという魂胆だったのかも知れない。ある年の春先、コンビニのおでんで一杯飲んでいた時に、会長から「この次には芋が採れるからそれで一杯やろうや、うちの芋は美味しいで」と声がかかった。本来が食いしん坊なので、こういう言葉は忘れない。楽しみにしていたら、それより前に会長は身体を壊し、それが元で亡くなられてしまった。翌年には私も役員を引退し、芋で一杯の夢は結局まぼろしとなってしまったのである、、、。(2016年秋詠)