住み旧りし空広き地の鰯雲

私の育ったところは両側に山が迫ったⅤ字型の谷底のような所でした。だから空も狭く、鰯雲は山から山にかかり空一面を覆ってしまいます。それに比べると今住んでいる所は空が広い。高い建物もなく、空がずいぶん遠くまで見えます。だから鰯雲も空一面を覆うなんてことは無く、のんびりと流れて行くように見えます。鰯雲を見る度に空の広さを想い、この地で過ごした年月を想い、そして想いはいつの間にか故郷へと移って行くのです。故郷で過ごした年月は、今ではこの地で過ごした年月の何分の一かに過ぎないのですが、、、。(2017年秋詠)

「住み旧りし空広き地の鰯雲」への2件のフィードバック

  1. 故郷を出て長く住んだ四国松山、大学生の時バイト帰りに見た地平線に沈む夕日の大きかった事、忘れられません。
    地平線というものが無い山峡の町の空は確かに狭いですね。
    その町だからこその花火大会、腹に響くあの音も忘れられません。

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