木の股にたらひが一つ秋出水

昨年の出水後の句。今年の豪雨ほどではないが、結構な水が出て、水が引いた後に行ってみると、河川敷の公園の隅に捨てられていた違法廃棄物がきれいさっぱり流されていた。流された廃棄物の行く末を考えると喜んではいられないのだが、などと考えながら歩いていると、川縁の木のちょうど目の高さあたりにゴミと一緒にプラスチック製の赤い盥が引っかかっていた、、、。(2017年秋詠)

蔦多き街廃屋の多き街

ちょっと坂道を山の方へ上ると廃屋が増える。日本全国そうなのかも知れないと思うぐらい、吟行に行くとよくそういう街に出会う。掲句も某所での吟行句。そしてお決まりのように蔦が茂っている。もともとは庭の景として植えられたものかも知れないと思うと、、、。(2017年秋詠)

秋夕日鴉まとまり帰りゆく

秋の夕空を鴉の群が帰って行く。なんと日本的な光景なんだろうと思う、、、。鴉は帰るというその行為では纏まっているのだが、実は群としては鳩や鴨のような纏まりは見られない。それぞれが自由気儘に飛んでいる。それも何だか面白い、、、。(2017年秋詠)