木の股にたらひが一つ秋出水

昨年の出水後の句。今年の豪雨ほどではないが、結構な水が出て、水が引いた後に行ってみると、河川敷の公園の隅に捨てられていた違法廃棄物がきれいさっぱり流されていた。流された廃棄物の行く末を考えると喜んではいられないのだが、などと考えながら歩いていると、川縁の木のちょうど目の高さあたりにゴミと一緒にプラスチック製の赤い盥が引っかかっていた、、、。(2017年秋詠)

秋出水累々白き石の原

被害が出るのは困るが、一歩手前ぐらいの出水になると、河原に生えていた草も根こそぎ流され、溜まっていたごみも流され、きれいに洗われた石の原となる。流れや中州の形が少し変わり、新しく出来た湾処に水鳥が休んで居たりする。不謹慎ですが好きな風景です。心の中もこういうふうに時々洗い流せればよいと思うのですが、なかなか、、、。(1999年秋詠)

川音ではかる水量秋出水

家ニ軒と土手を挟んで吉井川という場所に住んでいる。土手があるので、二階からも水面までは見えない。大丈夫と思いつつも、大雨の時は水量が気になる。傘をさして見に行くことはあるが、それも叶わないほどの降りの時や夜間には、水音で判断する。だんだんと激しさを増してくる水音は不気味だが、どうすることも出来ず、開き直ってテレビでも見ているほかはない。(2011年秋詠)