校庭に声の戻りて秋暑し

掲句は2011年の9月です。昨日の朝、近所の小学一年生の女の子が大きなランドセルを背負って登校していました。少し大きくなったかな、「行ってきます!」と一学期と違って声が大きい。「おはよう、言ってらっしゃい」と声をかけて、ふと考えるとまだ八月です。昔なら必死で宿題をしていた頃。ちょっと可哀そうかな、、、。(2011年秋詠)

待春の瀬戸の大凪小凪かな

四国勤務のころ、毎週渡っていた瀬戸大橋、余島のパーキングエリアでの句です。遅かろうと早かろうと、とにかく余島で止まって海を見ていました。あの年は寒かった。新年から雪の中を走って行った記憶があります。懐かしいです、、、。(2011年春詠)

まつすぐに太平洋より冬の船

2011年の年末、四国で過ごした時の句です。五階ぐらいだったでしょうか、朝早くホテルの部屋のカーテンを開けると、窓の下に入江が広がっていました。その向こうに防波堤、そして太平洋。その太平洋から、明け始めた朝の光の中を一隻の貨物船が近づいて来ます。航跡を残しながらまつすぐに、、、。(2011年冬詠)

句碑あらば裏を見る癖石蕗の花

一月も今日で終わり、早いですね、、、。これも退職前の四国での句です。石蕗は初冬に咲く花で、実際この辺りではすでに枯れきっていますが、四国赴任中は一月でもずいぶん目にしました。それも自生しているのでしょう、なんでもない山道で見かけることがよくありました。掲句は昨日の句と同じ日、ついでに巡った別の札所寺での句です。やはり句碑の足元には石蕗の花が、、、。(2011年冬詠)

灯台は陸のさきつぽ水仙花

退職前、四国赴任中の室戸岬での句です。二十四番札所最御崎寺から少し下ると灯台の上に出ます。柵があって、そこから先へは進めません。灯台の周囲に咲いている水仙を上から眺めるようになります。そのはるか先に太平洋の荒波が海岸線に砕ける姿が小さく見えます。一月とは思えない暖かい日でした。学生時代にヒッチハイクで四国一周をしましたが、その時に行き残した室戸岬への念願の旅が叶った、退職前の一日でした、、、。(2011年冬詠)

屋根裏にまだある暑さ秋彼岸

あると便利だろうと造ってもらった屋根裏の小部屋、梁が丸見えで板一枚をはさんで屋根という構造は、真夏には地獄の暑さとなる。少々濡れた物でもすぐに乾くし、たぶんダニ退治も出来るだろうと、使わない布団類はここに上げて置く。暑さ寒さも彼岸まで、そろそろ次の布団をと上がったら、相変わらず暑かった。真夏ほどではなかったが、、、。(2011年秋詠)