蟋蟀の声を転がす坂の道

歩きやすそうで歩きにくいコンクリート舗装の急坂、下ろうとすると古くなってざらついた路面に、これもすり減った安物のスニーカーの靴底は今にもすべりそう。おりしも側の草むらから聞えて来た蟋蟀の声、蟋蟀の声は最初から転がっている、、、。(2017年秋詠)

長椅子に寝て蟋蟀の近くなる

会社の所々に置かれている休憩用のベンチ、何となく横になってみたくて寝てみたら、耳のすぐ傍で蟋蟀の声が聞こえた。ああ、何と心地よいことよ、、、と、思う間もなくサラリーマンの性で起き上がっていた、、、。(1999年秋詠)