合宿の初日は、休み中の怠惰な生活が祟って、いつもひどいものだった。食事も喉を通らず、休み中の生活を後悔しながら、這うようにして練習をした。そして、一日の練習を終え、グランドの整備が済んだ頃には夕風が立っている。夕日が見える小高い位置に置かれたベンチに座り、蜩の声に包まれて飲む一本のコーラの、何と美味しかったことか、、、。安東次男の<蜩といふ名の裏山をいつも持つ>の句を知った時、私は瞬時にこの合宿の蜩を思い出した。安東次男が津山市沼の出身と知ったのは後のことだが、次男が詠んだ、いつも心にあった蜩とは、まさにあの蜩だったのである、、、。(1998年秋詠)
一度、蜩の山というほどの蜩の鳴き声を聞いてみたいものです。
一度だけ。
いつか是非聞いてみてください。