鳥撃ちのまだ目の開いた鴨を提げ

昨年はとうとう見ることが無かったが、禁猟区ではない吉井川沿いの散歩コースには、以前は鳥を狙うハンターの姿が度々あった。猟犬の声が聞こえ、猟銃の乾いた音がすると心が痛んだ。姿は見ずとも河原に空の薬莢が落ちており、水鳥が消えていることも度々あった。掲句の時はたまたま撃ったばかりの鴨を提げて茂みから土手に上がってきた男に行き会った。鴨はもう死んでいるのだろう、男に足を提げられて伸びきった首に、艶々と鮮やかな青い毛と、うつろな眼があった。男の眼は血走っていた。二度と見たくない光景だった、、、。あれから十五年、今は猟師の姿を見ることはほとんど無い、、、。(1998年冬詠)