遠き山近くに映し秋の川

久しぶりに老釣師を見かけた。それも、田圃の脇を流れる小さな水路をねらっているところだった。「こんな所で釣れるんですか?」と聞くと「ああ、釣れるよ」と、傍らの青いバケツを指差す。覗くと5Cmぐらいの魚が二匹、「ホントだ」「白ハエじゃあのうて、タナゴじゃけどなあ」と言いながら、餌に手を伸ばす。その先を見ると、「んっ?餌はスパゲッティですか?」「ああ、ミミズでもええんじゃけどなあ、今日はちょっとこれでやってみよう思うて」「へえ~っ!いろいろ工夫されるんですね」「、、、。最近眼が見えんようになって」と、スパゲッティの餌付けに時間がかかっている。やっと出来たところで、「竿もホントはこんな長いのは要らんのじゃがなあ」と言いながら竿を伸ばす。確かに、3mほどの竿は水路には立派すぎる、、、。(2013年秋詠)