千あらば千の実となれ柿の花

柿の花は沢山咲いて、沢山落ちて、実になってからも落ち続け、それでも残ったものだけが熟れます。去年は柿の花が例年に無く多く、願いを込めてこんな句を詠みました。で、結果は、千まではありませんでしたが多かったです。食べきれませんでした。だから今年はほどほどがいいなあと、柿の花を見上げています、、、。(2015年夏詠)

図書館の返却ポスト天清和

近くの図書館へ本の返却に行くとCLOSEの札、仕方が無いので横の返却ポストを利用する。どういう仕組みになっているのか、ポストの大きな口の中に本を置くと、本は落ちたような気配は無くスルリと飲み込まれて行くのでした。さてどうしよう。周囲を見回すと、小さな公園にもテニスコートにも人は無く、木々の上にはただ穏やかな五月の空が広がっているのでした、、、。(2015年夏詠)

捨てられし家より高く棕櫚の花

網目状の皮は棕櫚縄になるし、細く裂ける葉とよく撓る茎はハエ叩きの材料にはちょうど良い。だから実家にも植えてあった。下のほうから順番に利用して行くので年毎に背が高くなり、終いには梯子をかけても取れない高さになり切られることになる。掲句は空家になった家の傍の棕櫚の木、大きくはなったが既に利用する人もなく、切る人もいない。それどころか、家の屋根も半分落ちかけている、、、。(2015年夏詠)

てんとむし付けて野菜の苗貰ふ

掲句は昨年の事ですが、今年も余ったからと野菜の苗を頂きました。それも多量に。おかげで苗を買う必要がなくなりました。ありがたい事ですね。でも、全部枯らしたらどうしよう、という悩みも増えましたが、、、。(2015年夏詠)

参道に寄るなととぐろ巻きし蛇

山寺へ寄り道をした時の事、舗装はしてあるが車一台がやっとの山道、登っていくと道の中央に何やら黒いかたまりがある。昔の田舎の道には牛の糞が落ちている事があったが、ちょうどそんな感じと大きさ。今時牛の糞は無いだろうと思いながらスピードを落して見ると、なんと黒い蛇がとぐろを巻いている。それも寄るなとばかりに頭を上げて舌を出している。オット!と思ったが、幸い道の中央だったので踏まずに通り過ぎた。ヤレヤレ、、、。(2015年夏詠)

月夜とも朝とも遠く青葉木菟

窓の明るさに目覚めると遠くからかすかに青葉木菟の声が聞こえている。ということは月夜の明るさ?それとももう朝?まあいいか、しばらくは青葉木菟の声を聞いていよう、と思っているうちにまた眠ってしまう、、、。(2015年夏詠)

公園は街のポケット夏の花

岡山の市街地を歩いていると小さな公園がたくさんある。小さくてもベンチもあればトイレもある。四季折々の花が咲いている。これはありがたい。ちょっと休んで俳句帖を広げていても何の不自然もない。田舎には公園はいらないぐらい自然はあるけれど、トイレはない、、、。(2015年夏詠)